プロジェクト紹介

淡路駅付近
連続立体交差事業

本事業は、阪急京都線と千里線が交差する淡路駅を含む全長7kmにも及ぶ線路を高架化することにより17個所の踏切を除却し、都市内交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化による都市の活性化を図ることを目的とした事業です。
調査や計画は1980年代からはじまり、1994年に都市計画決定、1997年の都市計画事業認可や2008年の鉄道事業法における認可取得を経て工事に着手、現在も工事が続くビッグプロジェクトです。
阪急設計コンサルタントはその調査・計画段階から本プロジェクトに携わり、概略設計や詳細設計だけでなく、測量や土質調査、各種協議への協力から現在は工事監理まで担当しています。

2層高架橋施工部等遠影 淡路駅付近から大阪梅田方望む

2層高架橋施工部等遠影
(淡路駅付近から大阪梅田方望む)

プロジェクト独自の効率的な設計手順の採用

大規模な構造物を設計する上で安全・安心は当たり前ですが、安全を確保しつついかに質が高く、経済的な構造物を実現するかが大きな目標でした。その中で本プロジェクトにおける設計上の課題は、本設の構造物だけで300近くの数にのぼるなど構造物の数が非常に多いこと、また構造形式も多岐にわたり標準設計の適用が困難なことでした。そこで阪急設計コンサルタントでは鉄道事業者や専門機関とも繰り返し協議を実施し、本プロジェクト独自の設計手順を確立したことで、安全で効率的な設計を実現しています。また、プロジェクト期間が長いことに比例して設計期間も長く、その間に発生した阪神淡路大震災で耐震基準などの設計基準が大きく変更されたため、新基準に適合させるためには構造物が大きくなり、用地にも影響が出ました。そこで、阪急設計コンサルタントはSRC構造や高強度材料などを適切に採用し、重要な箇所について、当初の計画通りの用地内に収まる構造物にすることを可能としました。

神崎川横河部のPC箱桁架設状況

神崎川横河部のPC箱桁架設状況

狭隘な施工ヤードにおける大規模2層トラス桁架設

淡路駅北側のJRおおさか東線が交差する箇所で、特殊な構造である2層トラス桁(トラス桁の上下を電車が走る構造)の架設を行いました。大きな2層トラス桁を他社線路の上空に架ける工事は前例のない大規模な工事でした。
2017年から鉄道運行の安全性確保に向けた検討を進め、2018年に架設工事に着手しました。本工事では、周辺の工事ヤードが狭隘なため、隣接の高架橋上でトラス桁を組み立てた後に、桁を移動させていく「送り出し工法」を採用しました。工事中は、地震発生に備えた落橋防止設備など安全対策に万全を期し、無事に橋桁の架設が完了しました。高架化工事の完成までは長い年月を要しますが、列車運行の安全確保に努め、近隣住民の皆様のご理解・ご協力を賜りながら鋭意工事を進めており、本事業によりまちづくりや交通利便性の向上に寄与できるものと考えています。

JRおおさか東線との交差部の二層トラス桁

JRおおさか東線との交差部の二層トラス桁
(淡路駅京都河原町方から淡路駅方望む)

様々な条件から、
新しい駅のカタチを導き出していく

建築・設備工事では、高架駅舎の新設および高架化するための既存駅舎の改造工事に着手しています。これらの工事を円滑に進めるためには、土木部門や電気部門との連携が非常に重要となりますので、スケジュールやディティール等を適宜調整し、日々変化していく現場状況に素早く対応しています。
また、建築管理部では『どのように』モノをつくるかだけでなく、『どのような』モノをつくるかという計画・検討にも携わっています。その一つ淡路駅の新駅舎では、外装材を選定する際、コストやメンテナンス性を考慮するだけでなく、実際に現地で試験施工し意匠性を確認するなど、様々な観点から検討を重ねました。
今後、建築・設備工事が本格的に始動します。新しい高架駅舎が淡路エリアのシンボルとなるよう計画検討を深化させるとともに、工事監理では輸送の安全確保に努め、着実にこの大プロジェクトを推進していきます。

淡路駅新駅舎の工事状況

淡路駅新駅舎の工事状況
(大阪梅田駅方から淡路駅新駅舎を望む)

土木・建築部門との協調による確実なプロジェクト進行

電気部では、本事業の進捗に伴い発生する鉄道電気設備(信号、通信、電路、内線、変電)の新設・撤去・移設等工事に関する設計並びに工事監理を担っています。
工事設計では、土木・建築工事の進捗や各段階での構造物・建物の状態を考慮した上で施工ステップの検討・機器仕様の選定等を行います。一方、工事監理においては、実際の現場の動きに合わせて設備を切り替えていく必要があり、土木・建築部門との密接な情報連携・調整は元より、全体工程に影響が出ないよう、適切な工事進捗の監理が求められます。
プロジェクト開始からこれまでの間、従来線から複数回にわたる仮線切替に伴い淡路駅周辺の線形が変化してきたのに合わせて、鉄道電気設備も「変電所の移転」「各種電車線路・支持物・信号機等の移設」等により、姿を変えながらその機能を維持してくることができました。
鉄道電気設備は、いずれも運転の可否・運転保安に直結する重要なものであり、プロジェクト完了のその日まで、設計・工事監理での確実な業務遂行に努めます。

【最後のまとめ】

事業立ち上げ時からのメンバーとして、
高い専門性を発揮して、
高品質な成果を提供しています。

鉄道設計は土木、建築、電気、軌道など総合的かつ高い専門性が必要になります。阪急設計コンサルタントは阪急電鉄の機能分担会社として、各部署が専門的な知識を持ち、また連携して業務にあたることで顧客の意図を適切に反映しています。さらに高い技術力を持つ多くの専門家と協同し、更に課題や問題点についても案を出し合うことで高品質な成果を提供しています。

鉄道電気設備の状況

鉄道電気設備の状況